事例1
ご相談内容 → 賃金制度
A社は固定残業手当を導入しており、給与の中に残業代も含めて支給していたが、従業員に対して、何時間分の残業代が含まれているか、明確に明示が出来ていなかった。従業員から不安の声も上がり始めており、改めて賃金制度を整理したい。
従業員に固定残業手当について改めて説明の上、賃金規程と雇用契約書に、固定残業手当(〇時間相当分を含む)と明記。従業員の不安は解消され、良好な関係を回復することができた。
固定残業手当は、運用の仕方を間違えると、未払い残業代等の労務リスクに繋がるばかりでなく、従業員への不信感にも繋がってしまいます。導入を検討する場合には専門家の意見を聞き、また既に導入されている場合は、適切に運用できているか確認してみましょう。
事例2
ご相談内容
→ 勤怠不良の従業員に対する対応方法
B社は、遅刻や早退、無断欠勤等を繰り返す従業員への対応に苦慮されていた。何度か口頭で注意したものの改善が見られず、他の従業員への影響も心配されていた。また最近は、注意しても一向に改善されないため、都度注意することを止めていた。
勤怠不良に対しては、必ず都度注意いただくようにお伝えした。繰り返し注意しても改善されない場合は、指導書等の書面で改善を促し、それでもなお改善されない場合は、懲戒処分も検討できることを助言した。会社として「正当な事由のない勤怠不良は絶対に許さない」という姿勢を明確に示すことが重要であることを認識いただいた。その後、口頭ではなく書面で注意されたことにより、本人にも危機感が生まれ、徐々に勤怠不良は改善していった。
勤怠不良等を事由として、「会社を辞めてもらいたい」というご相談をいただくことが増えてきています。ただし、日本の会社は、従業員を辞めさせること(=解雇)に対して、法律上の様々な厳しい制限を受けることになります。まずは会社として、記録が残る形で都度注意をしていくことが重要になってきます。また書面で指導書を積み重ねていくことにより、改善に繋がる可能性が高くなると同時に、もし解雇を選択した際にも、会社として十分に注意したことを示す、重要な記録となります。
事例3
ご相談内容 → ハラスメント
C社は、業界柄、職人気質の従業員が多く、「今までと同じ指導方法や言葉遣いでは、人によってはハラスメントと感じるのではないか」と危惧されていた。
実際に、若者層の離職も目立つようになっていた。
パワーハラスメントやセクシャルハラスメントについて社内研修を実施し、管理者や従業員1人1人に対して、ハラスメントについての意識付けを徹底しました。一番のポイントは、行為者が「自覚なく発言したこと、行動したこと」でも、受けて側が「どう感じたか?」が最大限考慮される点です。また現代においては、世代間で“仕事に対する考え方”にギャップがあり、今まで“当たり前だったこと”が“当たり前ではない時代”になってきています。今回の研修を通じて、皆様に危機感をもっていただくことができ、「ちょっとした日頃の言動や行動にも意識を向けるようになった」とお声をいただきました。
ハラスメントは非常に難しく複雑な問題です。「ここまでだったらセーフ」という明確な基準がなく、例えば、Aさんから言われたことはハラスメントと感じなくても、Bさんから言われたことはハラスメントと感じる、といったことが起こります。また、ハラスメント行為を行ってしまう方ほど、「自分はハラスメントなんてするはずがない」と思い込んでいます。まずは研修を実施し“誰もが自覚なく行為者になってしまう可能性がある”という点を意識付けすることが重要となります。
事例4
ご相談内容 → 退職勧奨
D社の代表と管理職Eさんは、仕事に対するちょっとした考えのすれ違いから、上手くコミュニケーションが取れなくなってしまい、代表はやむなく退職について打診したところ、より関係性が悪化してしまった。また代表に対して、徹底的に争うような姿勢を匂わせていた。
代表とEさんは、直接お話することが難しいほど、関係性が悪化しておりました。また、Eさんは、自身の労働条件について思うところがあり、「代表がそのつもりなら徹底的に争う」と感情的になられておりました。一方で代表にも強い思いがあり、話し合いは困難な状態でした。まずは代表とEさん、それぞれの思いや考え方を細かくヒアリングしていき、お互いに一番気持ちの良い結果となるように配慮しながら進めていきました。結果としては退職となったものの、お互いに納得した形での退職合意となり、その後も争いには発展せず、Eさんは前向きに次のステージに向かっていきました。
社内だけでは問題が解決せず、外部の人間が仲裁に入った方が、話し合いがスムーズ進むケースも多くあります。また、法律に遵守した対応は重要ですが、まずは「人 対 人」であることを意識し、お互いの気持ちを汲み取って、問題を解決していくことが一番重要であると考えております。今回のケースでは、代表やEさんの理解もあり、最終的には前向きな解決に導くことができました。